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取材依頼書は、インタビュー取材をするときに必要になる書類です。Wordファイルやメールで、取材先に対して「こんな内容で取材をしたいのだが、取材を受けてくれますでしょうか?」と伝えるための役割を持っています。
そこで、取材依頼書に記載する内容を、気をつけるべきポイントと合わせて解説します。
インタビュー取材依頼書は、企画によってケースバイケース。だから悩む…
ネット検索で探すと、取材依頼書のひな型がいろいろと見つかるはずですが、どういった内容を盛り込むのかというテンプレートはあっても、なぜ盛り込むのか、といったポイントまではなかなか解説していません。
プロのフリーライターや編集者の経験に基づいたノウハウにかかわる部分なので、あまり話したがらないのも当たり前かも(笑)。
本来、取材依頼書は企画内容によって異なるもので「これで完ぺき」という正解があるわけではありません。
企画内容や掲載媒体(Webサイトなのか、印刷物なのか)、メディアの編集部企画か、企業とのタイアップ企画(掲載料をもらって記事制作をする記事広告)かなど、企画背景によってもまったく変わってくるのは、経験のない人でもある程度は想像できるかと思います。
だからこそ、どんなふうに書いたらいいんだろう?と悩んで、Googleで検索したあなたの気持ちも、よくわかります。
長年のインタビュー取材経験上、依頼書に盛り込みたい基本事項がある
とはいえ、長年、実際の現場でインタビュー取材をしてきた経験から言うと、この項目があれば取材依頼書としての基本は押さえられているだろうという共通項があります。
そもそも取材依頼書の役割は、
- 取材先に対して、
- 何をどのように取材して、
- アウトプットとしてどんな形で掲載するのか、
- そのため必要な許諾や条件も合わせて
伝える書類です。
ただ、この説明だけではプロとしては不十分な気がします。なぜなら上記の項目はすべて、取材するこちら側の視点のポイントを挙げているからです。
インタビュー取材依頼書で、もう一歩、踏み込んだ内容を盛り込むと、コミュニーションがスムーズに進んで取材依頼を承諾してもらいやすくなります。
ポイントは「取材先・相手が何をするのか」が伝わる&判断できる内容を書くこと
もう一歩、踏み込んだ取材依頼書では、次の2つの視点に立つことが大切です。
- 取材先が対応することが、具体的に何なのか
- この取材を受けることで、取材先にとってどのようなメリット・条件があるのか
取材先が企業や法人といった組織の場合、電話なりメールなりで初めて連絡をとると、ほとんどと言っていいほど「簡単な内容でいいので書類でいただけますか?」と言われます。
これは書面で記録を残す意味と、依頼を受けた担当者が社内の決裁権がある人や部署へ、報告ないしは申請をする際に必要になるからです。
たまにある勘違いは、こちら側の企画への思いをくどくどと語ったり、どんな掲載をするのかが抜けていたり、取材先が何をするべきかが書かれていなかったりする取材依頼書を作ってしまうことです。
企業や法人といった組織へ依頼するときには、いわゆるビジネスライクに、必要な要点だけを簡潔にわかりやすく書いているかどうかに目を向けるように注意すると良いでしょう。
インタビュー取材依頼書の書き方例&ひな型
それでは、インタビュー取材依頼書に記載する項目についてサンプルを挙げながら見ていきましょう。依頼書の段階ではWordファイル、A4サイズをPDF形式に変換して1枚におさめるようにすると良いでしょう。
掲載イメージなど資料がある場合は、添付資料として別ページまたは別ファイルにしましょう。
サンプルの設定
- 取材をする側(自分):オウンドメディア「Writing-Interview.com」の担当
- 取材先:インタビュー取材代行株式会社の代表取締役・α氏
- 事前に電話で軽く口頭説明し、依頼書を送る旨、インタビュー取材代行株式会社の広報部へ伝え済み
取材依頼書に盛り込む項目
- インタビュー相手先の会社名・部署名
- 書類を送る依頼日(日付)
- 自分の所属組織名・部署・フルネーム・連絡先
- タイトル「取材依頼書」など
- 掲載媒体(Webサイトの場合はサイト名とURL)
- 企画概要(簡潔に)
- 依頼内容
- 取材形式(インタビュー取材)
- 写真撮影の有無
- インタビュー場所、日時
- 相手先にお願いすることがあれば具体的にお願いする事項も記載
- 掲載予定日
- 謝礼の有無
- 回答期限(必要に応じて記載)
取材依頼書の書き方例
インタビュー取材代行株式会社御中
2023年10月1日
Writing-Interview.com編集部
(自分の氏名)
(連絡先電話番号)
(連絡先メールアドレス)
取材依頼書
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたび弊社運営のオウンドメディアで「インタビュー取材現場の今」特集を企画しており、貴社代表取締役α様のインタビュー取材をお願いしたく、取材依頼書をお送りいたします。下記内容について、ご検討賜りたくよろしくお願い申し上げます。
記
■掲載媒体:Webサイト「Writing-Interview.com」
■企画概要:インタビュー取材現場の最前線について、業界で話題のキーマン10人にインタビュー取材の未来を語っていただく特集記事。※掲載イメージは添付書類を参照ください。
■依頼内容:
- 代表取締役α様へのインタビュー
- インタビュー風景およびプロフィール用の写真を撮影
- 取材所要時間は撮影を含め1時間30分を想定
■日時:2023年10月30日(月)〜11月13日(月)の平日10時〜19時の間で、候補日時を調整ご相談させてください。
■場所:貴社へ取材スタッフが伺います。
■取材スタッフ:メディア編集部1名、ライター1名、カメラマン1名:合計3名
■掲載予定日:2024年1月19日(金)10時公開予定
※掲載前に原稿のご確認をいただけます。その際は、12月1日(金)頃に原稿を提出し、12月11日(月)までにお戻しいただくスケジュールとなります。
■謝礼・条件:取材謝礼のご用意はございません。掲載記事内に貴社指定のWebサイトURLのリンクを掲載させていただきます。
以上
Wordファイル版も用意しました。ダウンロードして、自由に使ってください。
インタビュー取材依頼書ひな型ダウンロード(Wordファイル)
サンプルで具体的に解説しましたが、このまま使える場合もあれば、ある程度、自社の企画に合わせてカスタマイズする必要はあります。そこは少し頭をひねってご自身で考えてみてください。
ただし、その際は前述したように、自分の思いや企画詳細をクドクドと説明しないように注意しましょう。繰り返しになりますが、相手先が気になるのは
- この取材を受けることでどのようなメリットがあり、
- どれだけ時間を割く必要があるのか、
- リソースの何を準備しなければならないのか?
という点です。
くれぐれも自分の都合だけを主張するような取材依頼書を作ってしまわないように気をつけてください。自分の都合を無条件に相手に押しつけられるのは、莫大な金を支払える石油王か、そもそも相手を騙そうとする詐欺師か、よほどの身分や覚悟がないとできることではありません。

インタビュー取材は、取材を受ける相手の視点に立ち、誠意を大切に!
「コスパ」や「タイパ」が話題になっている昨今。初対面の人とのコミュニケーションや交渉事にもそれを持ち込む主張が”その界隈”を賑わせているように個人的には感じています。
でも、ちょっと待ってください。そもそも「コスパ」や「タイパ」を考えたら、
- 「そもそもインタビュー取材なんて企画しないほうがいいですよ」
- 「アフィリエイト広告やディスプレイ広告が楽ちんですよ」
- 「キャンペーンを展開したほうがよっぽどコスパがいい」
です。
なんならチャットGPTで、嘘っぱちの原稿仕上げたほうがお金もほぼかからないです。
なぜインタビュー記事を企画したのか?
という原点に立ち返ると、直接取材先に話を聞いてどこにも発信されていない情報を自社サイトに掲載したいとか、SEO観点でGoogleが評価してくれるオリジナルコンテンツをWebサイトで公開したいとか、「コスパ」や「タイパ」とはまったく正反対のコンセプトがあるはずです。
であるならば。
その想いを形にするためには、頭を悩ませたり、多少時間がかかったりしても、労力を惜しまずゴール達成に向けた誠意を持って(取材相手にも自分に対しても)、取り組まれることをおすすめします。
そして、まだ世の中に送り出されていない新しいコンテンツ発信、素敵なインタビュー取材を成功させてください!