インタビュー記事の書き方とは?企画から取材、原稿執筆までの流れをわかりやすく解説

「自社のWebサイトへ顧客事例を掲載したい」
「会社案内パンフレットや採用サイトへ社員インタビューを載せたい」

そんなアイデアを思いついたときに必要になるのが、インタビュー取材です。
そこで、取材経験も豊富なプロの経験則から見た、インタビュー取材の企画から記事作成までの流れを、分かりやすく解説します。

インタビュー取材でオリジナルコンテンツを用意する機会が増えている

編集経験の長い私から見ても、10年、20年前と比べて、インターネットの普及やデジタル印刷技術の進化により、インタビュー取材を用いた記事作成は、特別な人が行うものではなくなりました。

ただ、ライターや編集者、企業の広報やPR部門以外の人が、いきなりインタビュー取材をするのは、なかなかハードルが高いものです。

何から始めたらいいのか、何を準備したらいいのか、すべてがわからないことでしょう。

一方で、ビジネスシーンでは、インタビュー取材が求められる(あったらいいな、と思える)ケースが増えてきているようです。

  • 企業のサービス訴求のための事例取材
  • ホワイトペーパー作成の素材として
  • Web集客のためのオウンドメディア運用の企画として
  • 求人・採用ページに掲載する社員インタビュー企画

例としていくつか挙げましたが、いずれも担当者レベルでどうにかして、インタビュー取材記事が作れないだろうか?とアイデアが出てくるビジネスシーンです。

取材経験が少しでもある人ならまだしも、まったく畑違いの人からすれば、いったい何から手をつければいいのか、イメージがつきにくいのは当然です。

最初のハードルとして「どうやって進めればよいのか、イメージがわかない」というインタビュー取材について、記事制作の流れで見ていきましょう。

インタビュー記事作成の流れ

「インタビュー記事作成の流れ」といっても、まだ一度もインタビュー取材をやっていない人にとって、想像はできても実際のところはよく分からない…というのが正直なところでしょう。

概要をつかむために、インタビュー記事制作の流れを簡単に見ていきましょう。

インタビュー記事制作の流れ
  1. 企画立案
  2. 取材先への依頼
  3. スタッフ(ライターやカメラマン)の手配
  4. インタビュー取材日の確定
  5. 当日に必要なものの準備
  6. インタビュー当日
  7. 原稿作成・素材編集
  8. 原稿整理(初稿)
  9. 原稿校正や校閲・社内チェック
  10. 取材先への原稿確認依頼
  11. 原稿整理(赤入れの反映)
  12. 原稿FIX(校了)
  13. 掲載までの作業
  14. Web本番公開や印刷物完成

1.企画立案

  • インタビュー企画の立案
  • 取材先の選定

よく誤解されがちですが、インタビュー取材は、その場へ出向いてただ話を聞けばいいのではありません。

何を目的としたインタビューなのか、アウトプットはどのような形式・体裁なのか、目的に合った取材先はどこなのか(誰なのか)、そして読者への訴求ポイントは何なのか、最初の企画(計画)をきちんと立てることから始まります。

2.取材先への依頼

  • インタビュー依頼(取材依頼書を作成する)
  • 承諾をもらう
  • インタビュー取材日程の調整

企画が固まったら、選定した取材先へのインタビュー依頼を行います。報道機関でない限り、アポなしで突然取材へ出向いても、ほぼ相手にしてくれませんし、相手も取材に答える義務もありません。

場合によっては、スケジュールや関係先との都合で「取材NG」の場合もあるため、取材先の候補はいくつかリストアップしてから進めるのが良いでしょう。

3.スタッフ(ライターやカメラマン)の手配

  • 依頼内容の説明とスケジュール確保
  • ギャラ(原稿料、撮影料)の打診

取材先が固まってきたら、並行して必要なスタッフのスケジュールも確保するようにしましょう。ライターやカメラマン、ヘアメイクなど、企画と掲載するアウトプットに応じて、必要なスタッフをアサインしましょう。

「このスタッフでないとダメ!」という特別なスキルを持つスタッフでない限り、インタビュー取材先の希望日程を最優先にして調整するのが良いでしょう。

打診するスタッフへは「まだ仮なんですが…」と前置きしつつ、複数名のスタッフへ打診しておくと、万一、日程都合がつかない場合でも別のスタッフで調整できるためリスクヘッジになります。

4.インタビュー取材日の確定

  • スタッフへの確定連絡
  • 集合場所、集合時間の連絡
  • その他、関係者への連絡

インタビュー取材日が確定したら、原稿や写真納品のスケジュールを確定させて、スタッフにあらかじめ伝えておきましょう。
集合場所、集合時間、当日のスケジュールなども合わせて用意しておくと連絡が1回で済んで効率的です。

この時、必ず忘れないで欲しいのは、間違った取材日時を伝えないこと、です。よくあるのは、日にちと曜日の間違え、「いちじ」(午後1時)と「しちじ」(午後7時)の間違えなどです。「来週の月曜」といった曖昧な伝え方も避けたほうがいいでしょう。

人間、誰しも勘違いやミスはあるものですから、「自分はそんなことはしない」とタカをくくるのではなく、細心の注意を払いましょう。

5.当日に必要なものの準備

  • インタビュー事項、質問事項の作成
  • インタビューのためのリサーチ
  • 撮影がある場合の備品手配
  • 飲み物や軽食などケータリングの手配(タレントさんなど特別な取材撮影の場合)

当日までに、インタビューの質問事項を書類にして、インタビュー取材先へ送付しておくと良いでしょう。先方もあらかじめ話す内容を準備できるため、当日、より深い取材ができる可能性が高まります。

また、ライターやカメラマンへも同様の書類を事前に送付しておくことで、当日の取材やアウトプットの形がイメージできるため、インタビューや原稿作成、撮影イメージのアウトライン固めの手助けになります。

6.インタビュー当日

  • スタッフと待ち合わせ集合
  • 事前の共有事項の確認
  • インタビュー場所へ訪問
  • インタビュー
  • インタビュー後のスタッフとの確認

インタビュー当日は、スタッフや関係者は事前に別の場所で落ち合って、簡単な共有事項を確認するようにすると良いでしょう。
スタッフや関係者の中には、初めて顔を合わせる人がいるのも当たり前なので、名刺交換や注意事項、当日までに変更になった点などを、取材場所へ入る前に共有しておきます。

7.原稿作成・素材編集

  • ライター、カメラマンからの納品待ち
  • 不足している素材や資料などの手配

原稿や写真があがってくるのを待つのも仕事です。あらかじめ伝えた納期を過ぎるようなら、メールやチャットツールだけでなく、電話で連絡してみるのもおすすめです。

遅筆なライター、多忙なカメラマン、思いがけなく事故など不測の事態でネット接続環境にない、など遅れるには理由があります。確認の電話なら30秒で済むことなので、コミュニケーション方法は使い分けるのがおすすめです。

8.原稿整理(初稿)

  • 原稿のチェック
  • 原稿の見出しや本文など掲載を想定した体裁に編集
  • 写真加工の発注、イラストや図表の発注

この段階で、掲載に必要な素材がすべて手元にそろっているのが理想です。見出しをどのようにするのか、写真はどれをセレクトするのか、掲載に必要な素材や資料は足りているかなど、アウトプットの掲載形式に当てはめて原稿を整理します。

9.原稿校正や校閲・社内チェック

  • 文字校正、表記揺れの統一
  • 必要に応じて法務部など社内部署への回覧

ここまでくると、あとは原稿をブラッシュアップしていく作業です。文字校正は日本語の誤りをチェックしたり、参照元と相違がないかを照らし合わせたりする作業です。校正はプロに頼むこともできます。

また、社内チェック(法務チェック、広報チェック、薬機法など法律的なチェック)が必要な場合は、この段階で回しておくと良いでしょう。

取材先への原稿チェック依頼と社内チェックのどちらを優先するのかによって、「11」が済んでからの社内チェックの場合もあります。

10.取材先への原稿確認依頼

  • 取材先へ確認を依頼
  • 原稿戻し期日などの調整

インタビューした取材先へ原稿確認の依頼を行います。

ほとんどのケースで「掲載前に原稿を見せてください」と言われますので、取材当日に「原稿は●●日までにお送りするのでご確認お願いします。戻りのスケジュール感は●●日後のお戻しです」と、取材先へインプットしておくと良いでしょう。

11.原稿整理(赤入れの反映)

  • 取材先からの修正内容を原稿に反映
  • 最終稿を取材先へ送付、確認

インタビュー取材先から戻ってきた赤入れを原稿に反映させます。反映して最終稿が出来上がったら、「最終稿はこうなります」と取材先へも送付しておきましょう。

12.原稿FIX(校了)

これで原稿がFIXして校了となります。原稿のテキストや写真はFIXしましたが、ここから以降の作業は、Webデザインやコーディング作業、紙への印刷物の場合はDTPデータ作成(「10」の前後でデザインも合わせて作業してしまう場合もあります)へと進みます。

13.掲載までの作業

  • WebデザインやDTP入稿
  • Webコーディングや印刷

14.Web本番公開や印刷物完成

記事を公開したら、忘れずに取材先へ案内しましょう。

忘れがちなのですが、記事公開日をしっかり連絡することで、SNSで投稿をして拡散してくれたり、コーポレートサイトで「●●に掲載されました」などのお知らせをしてくれる場合があります。

なんとなくイメージがわいてきたでしょうか?
次からは、重要なポイントとなる項目について、いくつか見ていきましょう。

インタビュー取材で押さえておきたい3つのポイント

取材日時・取材場所の連絡ミス、勘違い

インタビュー取材は、取材日時や集合場所を間違えたらアウトです。担当者だけでなく、取材先、関係スタッフにも、同じ情報を間違えないように伝達・共有することがポイントです。

「あたり前だよ」「間違えるわけないよ」と誰しも思うのですが、じつはとても多いミスです。

次のようなケースに注意しましょう。

  • 開始時間「いちじ」「しちじ」
  • 午後5時(ごご、ごじ)、15時(じゅう、ごじ)電話で伝えるときの聞き間違い
  • 曜日と日付の不整合の放置1/1(月)か1/1(火)と候補日が同じ日付だけど曜日が違う。1/1?1/2?どっち?
  • 似たような駅名、地名の勘違い「新●●駅」と「●●駅」
  • 似たような店舗名、ビル名の勘違い
  • 複数オフィスがある企業のオフィス勘違い

取材前にアウトプットのアウトラインを決めておく

これもよくあるケースですが、「取材したい」というイメージだけ先行して、実際のアウトプットの形式を決めてないことがあります。
これは「なんかココロにグッとくる美味しいもの、用意しといて」と言っているのと同じことです。これを言って良いのは、王様か彼氏・彼女・奥さん、または何も考えていないアホだけです。

文章のボリューム、文章テイスト、必要な写真枚数や構図、演出の有無など、あらかじめ決めておいたアウトラインにそって、当日のインタビュー取材を行うのです。
終わったあとで「しまった!この構図の写真が欲しかった」「これが訴求テーマだったけど、質問してなかった」と発覚しても後の祭りです。

納期スケジュールとギャラの事前確認

納期スケジュールは事前に関係者に共有しておくことが大切です。
実際の作業に誰がいつまでに関わって、制作物をどのように処理していくのか。多くの人を巻き込んで行う作業のため、最初の企画段階で、おおよその見込みを立てておくのがおすすめです。

また、これもあるあるですが、ライターやカメラマンへ事前にギャランティ(原稿料や撮影料)を取り決めずにあいまいにしたまま、インタビュー取材当日を迎えたり、ギャラの提示がないのでスケジュールを押さえられていなかったりすることがあります。

アサインするライターやカメラマンも同じ人間で、彼ら彼女らにも生活があります。だまし討ちをするようなことはしないで、あらかじめ予算を伝えて交渉するようにしましょう。

ノープランでは100%失敗するのがインタビュー取材

経験則から言うと、インタビュー取材でよくある勘違いのパターンが「大丈夫だよ、大丈夫!とりあえず現地へ行けばなんとかなるよ」と、何の準備もしないで(させないで)インタビュー取材に臨んでしまうことです。

そう言う人に限って、インタビュー取材やコンテンツ制作の経験がない、まったくの素人だったりします(苦笑)。
まぁ実際、プロの現場では、そこへ行って初めて判明することや、突然、相手方の都合で取材内容が変わるのはあるため、その度胸はとても評価したいところですが。プロが言うのと、素人が言うのとでは、結果がまるで違います。

この記事を読んでいただいているあなたは、そんなことはないと思います。ぜひこの記事を参考に、インタビュー取材に必要な流れを自分なりに組み立てて準備してください。
そして「現地へ行けばなんとかなるよ」と根拠なく言っているあの人には「チッ、素人が。黙ってろ」と蹴っ飛ばしちゃってください。